2020.11.14 13:15茶色い黒コート 今年の夏はあんなに暑かったのに、すっかり寒くなった。藤原敏行朝臣の名歌「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」をもじって、「秋来ぬと思うまもなく冬が来て風の冷えにぞ驚かれぬる」とでも言おうか。で、愛用の黒いコートを出した。黒い服といえば、時に略礼服やモーニングコートや黒背広を着るけれども、このコートには一入の愛着がある。いつ買ったのか忘れた程長く着ていてヨレヨレ、左ポケットの底が抜けている。金沢学院大学時代、これを着て休日出勤し、クマと間違えられそうになった。黒とはいいながら、衿と袖のあたりはやや茶色を帯びている。落語「抜け雀」の導入部に『小田原の宿に来た若い絵師。着ている黒紋付が日焼けで赤紋付になっている』というくだりがあり、黒い着...