2021.11.23 15:00加賀宝生と綱紀公 今回は、先月の「別冊太陽・金沢・加賀・能登の工芸」の紹介の続きとして、同書に、能楽史研究者西村聡公立小松大学教授が執筆された『「加賀藩の御細工所と「加賀宝生」』について述べたい。この記事は、加賀の能楽に関して、御細工所の人々、すなわち工芸担当者の果たした役割を論じ、この職人達の支援によって前田家5代目綱紀公が宝生重用の道を開かれたことを述べたものと私は理解した。 「加賀宝生」なる言葉は、人口に膾炙している。石川県で謡曲といえば、宝生流である。私は中学生の時、「鞍馬天狗」の小謡を学校の先生に習い、大学生になってから、小松の麦谷萬次郎師から「鶴亀」を口うつしに教えて頂いたが、もちろんいずれも宝生流であった。祖父の謡も宝生、本屋に置いている謡本も宝生だった...