前田家の明倫堂

 前に本欄でご紹介した全国藩校サミット金沢大会が、9月30日に開催される。準備は着実に進んでいる。事務方を担当されている金沢市当局をはじめ、関係各方面のご支援に、実行委員長としては、ただただありがたく、深く感謝申し上げるのみである。

 当日は、徳川宗家御当主徳川恒孝氏と、前田利祐当会名誉会長はじめ28藩(将軍家を入れれば29家)の藩主後裔の御当主が参加される。御当主以外の方が来沢されるお家もあって、参加者は多い。午前中から昼にかけて、ホテルで藩校会議と藩主会議が行われる。午後になって、石川県立音楽堂邦楽ホールで、金沢素囃子保存会の演奏によりサミット大会第一部の幕が開く。ここで、関係者の挨拶と来賓の紹介ののち、「加賀藩の藩校と前田家」と題する本康宏史金沢星稜大学教授の記念公演が行われる。続く第二部となって、徳川恒孝氏、前田利祐氏のお二方に山本博文東京大学史料編纂所教授が加わって記念鼎談が持たれる。さらに、第三部に入って、子ども文化活動の紹介となり、子ども論語発表、金沢子どもはしご登り教室、加賀宝生子ども塾、大野町獅子舞保存会がそれぞれの活動を紹介する。締め括りに金沢宣言を採択して、次期開催地の舞鶴市に引継書を渡し、舞鶴市の挨拶などがあって閉会する。夕方、会場をホテルに移し、金沢らしいおもてなしによって交流会が開かれる。

 明治維新と第二次大戦後の我が国の急速な発展・復興は、直接その時代を担った方々のお力によるものだが、基盤には国民全体の高い知的水準があった。藩政期における藩校や寺子屋などによる教育への熱意の高まりは刮目すべきものがあり、加賀藩校である明倫堂は、武士以外にも門戸を開いていた。藩校だけではなく、たとえば、小松には集義堂と呼ばれる学問所が開かれ、藩もその活動を認め支えていた。

 石川県人会としては、北國新聞の社説で指摘されているように、各般にわたる加賀藩の足跡を丁寧にフォローし、その御縁による各地との交流を密度の高いものにしていきたい。(2017年9月18日記)

石川県人 心の旅 by 石田寛人

石川県人会発行の月刊ニューズレター「石川県人会の絆」に2016年1月の創刊から連載中の記事をまとめたサイトです。

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