老と孝

 先日、石川県の大先輩で各方面にご造詣の深い安嶋弥先生から「老」の字について教えて頂いた。漢和字典では、「老」の字や「考」の字は[おいかんむり]の部首、対するに「孝」の字は、[こへん・こ]の部首に属していると。初耳だった。「大漢語林」を開いて考えた。なぜ「孝」が[こへん・こ]に入っているのかと。「孝」は、字の上半分が意味する老人を下の子供が支えている姿である。「孝」は「子」の立場に立った行為であるからか。長年、この字の下の部分に属した私も、その役割を十分果たさないまま、いつしか上の部分になった。後世代が支えやすいように、軽い「老」になりたいと思うが、毎日乗る体重計の目盛りが下がらないのと同様に、客観的に見てそうでもないのが残念だ。(2016年4月20日記)

石川県人 心の旅 by 石田寛人

石川県人会発行の月刊ニューズレター「石川県人会の絆」に2016年1月の創刊から連載中の記事をまとめたサイトです。

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