辰巳用水命光輝

 この度は、多くの県人会の方々に、小松お旅祭りの子供歌舞伎曳山8基曳揃えをご高覧頂き、厚く厚く御礼申し上げる。私自身、小松で皆様方をお迎えすべきところ、外国に用務があって、それが叶わなかった。どうかご寛恕頂きたい。

 今年上演の2町のうち、西町の演じた「辰巳用水命光輝(たつみようすい・いのちのかがやき)」の原作者は私である。自分の作品が上演されるのは、光栄であり嬉しくもあるが、舞台をじかに見ていると、原作の拙さが目につき、なかなか落ち着いた気分になれない。しかし、子供役者の演技には感動する。子供達が、私の書いた下手なセリフを完璧に記憶して、しっかり発声するのに感心させられる。

 小松の曳山子供歌舞伎は今年で250年。これまで、古典名作演目が次々に演じられてきたが、そんな上演の系譜に、小松ゆかりの演目ということで、今回の板屋兵四郎ものと平家物語の仏御前ものの2拙作を加えて頂いたのは、なんとも面はゆい。私は、どんどん新作を書くという年齢ではなくなったが、さらに研鑽を積んで、ゆったりした気持ちで自作上演を見られる程度の作品を何とか書き上げたいと日々念じている。(2016年5月20日記)

石川県人 心の旅 by 石田寛人

石川県人会発行の月刊ニューズレター「石川県人会の絆」に2016年1月の創刊から連載中の記事をまとめたサイトです。

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