デパートの定点観測

 私は、長年、月に一度、土曜日の昼に都心の同じデパートに行っている。買い物ではなく、デパート最上階で開かれる勉強会に出席するためである。その都度、エレベーターに乗って周囲の状況を観察している。エレベーターでの定点観測だ。一つの箱に乗り合わせるのは、多い時は十人前後、少ない時でも二、三人。長い間、相乗りした人々の中に、約174センチの私の身長を超える人が居たことはなかった。しかるに、一昨々年、私より背の高い男の人一人と乗り合わせた。一昨年は年間で合計七人もの男性が私より背が高かった。なぜか昨年と今年はゼロだったが、今月、私より大きい若者が一人乗って来た。エレベーター利用者は中年あるいは熟年の女性がとても多いが、近年、東京都心のデパートでは、若い男女の利用者が増えてきているようだ。そのエレベーターに足を踏み入れる毎に、昨今金沢のデパートのエレベーターにはどんな人が乗っているのかと思いを巡らさずにはいられない。北陸新幹線金沢開業からはや一年半近く。首都圏や関西、中部からの訪問者がますます増加して、金沢のデパートやお店で買い物を楽しんでほしいと願っている。(2016年7月20日記)

石川県人 心の旅 by 石田寛人

石川県人会発行の月刊ニューズレター「石川県人会の絆」に2016年1月の創刊から連載中の記事をまとめたサイトです。

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