いよいよ歳末。大晦日まで10日あまりとなって、この一年間における石川県人会関係のさまざまな出来事が脳裏を駆け巡る。前田家ゆかりの地の訪問、百万石の集いの開催、いしかわ県人祭in東京への参画、八丈島と台湾への交流訪問、青年部大忘年会の盛り上がりと実に充実した1年であった。来年は、更なる飛躍を期したい。
それとともに、人生の常ながら、この一年に、ご指導頂いた恩師先達先輩や、懐かしい学友、忘れられない知己との永遠の別れがあった。
文化庁長官として、文化行政の先頭に立たれ、東宮大夫として若き日の今上陛下にお仕えされた安嶋彌先生は、この12月に亡くなられた。温かい人柄と深い教養と該博な学識に触れさせて頂きながら、先生を中心とした座談、卓話の席に連なるのは、私にとって何物にも代えがたい珠玉の時間であった。今、幽明境を異にするのは、誠に残念であるが、この上は、ただただご冥福をお祈り申し上げたい。
さて、先月、落語についてお話ししたのに続いて、もうひとつ落語の話。三遊亭圓生師匠の「寝床」とともに、私が大好きな落語は、三遊亭圓歌師匠の「浪曲社長」である。圓歌師匠は歌奴時代に、新作落語「授業中」の「山のアナアナ」で売り出してテレビに進出、全国的な人気者になったが、同じく新作の「浪曲社長」もまた独特の味わいを有している。私が子供の頃、ラジオ放送にも浪曲の番組があったが、この落語では、浪曲大好きな社長と、浪花節を語りながら社長室に入ってきた新入社員の間で、絶妙のやりとりが展開され、聴いていて我々が予想する話の方向が少しずつはぐらかされる間合いが何ともとぼけていて面白い。圓歌師匠は、郷土の生んだ大文豪泉鏡花の麹町の居宅あとあたりに住んでおられたようで、石川県とのご縁をチョッピリ感じていたが、この師匠も今年他界された。
かくして今年も暮れていくが、みなさま、ぜひ佳いお年をお迎えください。(2017年12月19日記)
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