地震からの復興と郷土訪問

 今月3日の朝6時半頃。地震アラートに驚かされ、すぐテレビを点けたら、富山湾が震源の地震の警報だった。スワ能登半島地震の再来かと、不安になって画面を見つめたら、6時31分震度5強の地震が能登半島の珠洲市や輪島市を襲ったことが報じられた。東京では全く振動を感じず、能登や富山での揺れも予知したものほど大きくはなかったようだが、やはり被害はあったと報じられた。1月1日の地震に関連した揺れとのことだったが、ともかく、早くこのように奥能登で地面が動く状況が収まることを祈るばかりである。

 今、急がれる能登半島地震からの復興についていは、全国の方々に心を寄せて頂き、応援を受けながら、石川県挙げて懸命に取り組んでいるが、石川県立美術館をはじめ関係機関の協力のもとで前田家伝来の美術工芸品や古文書を維持管理展観を任務とする前田育徳会としては、能登半島地震の被害をお見舞いし、復興への御尽力に敬意と感謝の気持ちをお伝えするために、6月10日に前田家19代御当主前田利宜氏と住田髙市常務理事と私が石川県庁を訪ねて、作業服姿の馳知事にお目にかかり、お見舞い金をお渡しした。この日は、馳知事と第19代御当主が直接話される機会をつくるのも目的であったが、馳知事から、机上の国土地理院製作の立体地図によって、現在の状況と今後の復興活動の進め方を丁寧に説明して頂いた。その前に徳田博副知事や竹沢淳一文化観光スポーツ部長にもお会いして、令和8年に予定される前田育徳会設立100周年記念の展覧会について、極くあらましをお話しした。私ども前田育徳会の役員職員も、能登半島が早く穏やかな常態を取り戻し、県人全てが懐かしむ故郷が再生復興する姿をこの目に入れたいと強く念願している。

 石川県全体としては、地震被害からの復興に全力を挙げるとともに、可能な限り、通常の日常生活を取り戻し、旺盛な生産活動と諸費活動を展開して、県の力を蓄え、それを能登の復興に注ぐことも大切である。そんなことから、加賀では恒例の催し物や祭りがとり行われており、石川県人会も、祭りに合せて郷土訪問旅行を行った。

 5月11日、細川雅義さんをはじめとする目黒石川県人会の方々や山城博光板橋石川県人会長達約30人がお旅祭りで賑わう小松を訪れた。子供歌舞伎「辰巳用水民之礎」等を観た後、例年通りに粟津法師旅館で会食宿泊し、小松市の宮橋勝栄市長、新田寛之議長と意見交換を行った。翌日は、那谷寺で木崎住職から歓待を受けたのち、白山比咩神社に参拝し、能登の速やかなる復興を祈願した。

 また6月1日の金沢百万石祭りを中心とした行事には、河口洋徳事業委員長達30人程が首都圏から参加した。まず、前日、金沢市役所で能登半島地震復興に対する金沢市の活動について勉強会を持ち、夕刻、村山卓金沢市長をはじめ金沢市幹部と会食懇親を行った。当日は、朝、尾山神社の封国祭に参列し、衣冠束帯姿の前田利宜氏をはじめ前田家の御家族、前田家重臣であった八家の方々、奉賛会役員達とともに神前に連なって、能登復興を祈った。午後からは、恒例の百万石行列を市役所前の桟敷席から参観し、人出が極めて多くて今年の祭りがとても盛大に挙行されているのを実感した。このような人々の大きなエネルギーが、能登に明るい未来をもたらすと信じている。(2024年6月18日記)

石川県人 心の旅 by 石田寛人

石川県人会発行の月刊ニューズレター「石川県人会の絆」に2016年1月の創刊から連載中の記事をまとめたサイトです。

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